年末年始の円高リスクに注意


   先週金曜日発表された、日銀の新たな「補完的措置」への批判が厳しい。黒田総裁も「金融緩和ではない」と言っているが、誰も予想してないタイミングを狙って敢えて発表したこと、JGB購入の限界論に配慮した措置であること、そもそもこのタイミングでわざわざ発表するほどの内容でもないことから、「なぜこのタイミング?」「なぜ、これほど中途半端なのか?」「日銀は既に政策的に限界地点に近いのではないか?」等々、あらぬ憶測を呼んでしまった。

黒田総裁はドラギ総裁の失敗から何も学ばなかったのであろうか。黒田総裁が期待されているのは、バズーカを撃ち放つことだけであり、水鉄砲で遊ぶ権利はないのだ。しかし、水遊びをしてしまった以上、批判は免れない。WSJなどは辛辣である。

結局、量的緩和政策は机上の空論だったのだ。いくら大量にJGBを買ったとしても、銀行から日銀に保有者が移っただけであり、勝手に誤解した市場が円安ドライブをかけた部分だけは効果があったが、それ以外の効果はゼロと総括しなければならない時が来ているのではないだろうか。既に、リフレ派の先生であるクルーグマンは自らの間違いを認めている。

このところ、海外市場に入ると円高が進む。大きなマネーのシフトが、ジワリ起こっている感じがする。日本人は脳天気に円売りを続けるだろうが、相場の転換点は近いのではないだろうか。