三日と持たなかったマイナス金利の効果

昨日の海外市場では、原油価格急落、米国株下落、米国債上昇と典型的なリスクオフ相場となった。ただ、その中で最も象徴的だったのは米国債だ。1.8%台の10年金利は、これから利上げに向かうというよりは、金融緩和局面に向かうかのように見える動きだ。

おそらく、この米国債の動きを助長したのは、邦銀を始めとした本邦機関投資家が、ほぼ金利が消滅した中で、本邦資金が向かうのは米国債だとの思惑が強まったからだろう。実際問題として、邦銀が出来ることといえば、米債を始めとした外債の長いところを大量に購入することだろう。

もちろん、これは為替を100%ヘッジして行うので、円安効果はゼロだ。むしろ、米金利の低下余地は日本より大きい。結果的に、皮肉なことに、日銀のマイナス金利政策が米金利低下を促し、日米金利差が縮小するという、笑えない結果となっている。当然、ドル円売り材料だ。

そうなると、今回のマイナス金利政策は既に限界に達したといえる。黒田総裁が何と言っても、黒大次元緩和政策は終着点まで来てしまった。これ以上の緩和は経済にマイナスでしか無い。それ故、我々に出来ることは、円高と株安を甘んじて受け入れ、真の経済再生に努力するということしかないだろう。