貿易戦争は終わったのか?

あまりにもあっけない幕引き。
2回目の米中通商協議において米中両国は
貿易戦争に踏み切らない意向を表明して終了した。
互いに関税を引き上げる、激しい応酬があったが、
終わってみると「茶番だったのか?」と思わざるを得ない、
納得の行かない幕切れであった。

しかしながら、トランプ氏のやり方は全て同じだ。
驚くほど厳しい「口撃」をするのだが、
適度なところで妥協する。
ビジネスの世界では通用したかも知れないが、
国際政治の場ではどの程度長続きするだろうか、
疑問だ。

もう手の内はわかった。貿易戦争は起こらない。
そうであるならば、米高金利を評価してドル買いということになる。
押し目を待ってドルを買いたい。

ドル高トレンド継続

ドルの堅調地合いが続いている。
週末を控え、
ポジション調整のリスクは残るが、
金利を背景にドルへの資金流入が続きそうだ。
多くのプレーヤーは米中貿易問題や、
地政学的リスク、
トランプ政権からの牽制球を気にしすぎて、
ドル上昇トレンドに乗れていない様に見える。

トランプ政権からの円高圧力があったとしても、
効果は一時的なのだろう。円をロングにしても、
金利はつかない。投資家はリターンが必要なのだ。

その意味では、
長期金利3.1%は魅力的だ。
日本から投資すると為替リスクは当然あるが、
長期で複利運用すると、損益分岐点はかなり低い。

本日は、多少調整もあるかもしれないが、
長期的なドルの優位性は揺るがない。
過去、どの時期を考えても、現在以上に米国が魅力的に
見えたときはない。今が米国の黄金時代だろうか。

米長期金利が上昇し、ドル高に

先週の米CPIで金利上昇懸念が
一息ついたかにみえた米金利だが、
10年金利は本日再び3%台に乗せてきた。
ドル円も110円近辺に張り付いている。

ドル円は、貿易問題や中東問題等を
懸念してドルベアが多いが、
金利上昇の現実の前にジリジリと
下値を切り上げている。

欧州の景気も軟化傾向にあり、
英国、豪、NZも軒並みやや見方が下がっている。
こうした中、唯一金利を引き上げられる
米国の状況は抜きん出ている。

110円はさすがに輸出からの売りが多いので
抵抗するだろうが、
何時かは112円方向に向かうのではないだろうか。

米CPIと英中銀に注目

本日は、英中銀政策決定会合と米CPIの数字が最大の焦点。
英中銀に関しては政策変更はないのだが、タカ派ハト派的かで反応は大きく変わるだろう。
現状のマーケットを見ていると、Hawkish Holdにかけているようだ。
夏に利上げというのがにじみ出れば、ポンドは対ユーロで買い戻されるだろう。

もう一方のCPIだが、コアの数字が予想の2.2%を上回ってくると事件である。 しかし、そこまでは行かないだろう。
予想通りでも、米金利の反応次第ではドル上昇余地はある。 

ユーロドル下落が続く

武田製薬とシャイアーM&Aばかりが注目を浴びているが、この材料で儲けるのは難しい。
そもそも、いつ為替のフローが出てくるのか、さっぱりわからないからだ。
市場の噂では、既に大半が出切っているとの話だが、人によってはこれからだという人もいる。

そうした中、ユーロドルが安値を更新してきた。昨日発表となった、ドイツ3月製造業新規受注は予想外のマイナス0.9%となった(市場予想+0.5%)。
特に海外からの受注が減少したとのことだが、米経済も中国経済も、特に悪いようには見えない。
唯一納得できる理由を見つけ出すとすれば、独企業の競争力が低下し、市場シェアを失っているという仮定だ。

もしそうであれば、簡単に独・欧州経済は復活しない。
ドル上昇トレンドは意外に長続きするかも知れない。

米国株の動きに注意

バフェット氏がアップル株を買い増したとの報道が、米国株を押し上げた。
米国株はきれいな三角持ち合い状になっており、ブレイクを待つ格好だ。
遅行指標とはいえ、VIX指数も低下しており、米企業決算はこれまでのところ非常に良好だ。
現状レベルでも決して割高とは言えない状況になりつつある。

もし米国株が三角持ち合いを上抜けした場合、米国株は買いになるし、ドルも上昇するのではないだろうか。
依然として、ガンドラック氏を始め、今年米国株は上がらないとする観測が市場では主流だが、もし上昇継続となると、インパクトは大きい。

アルゼンチンの状況や、イラン核合意から米国が離脱するとの観測もあり、ドルを積極的に買うには躊躇してしまう面もあるかもしれないが、今こそ、究極の避難通貨は「ドル」だと言うことを考えると、ドル全面高となる要素がなくもない状況と言える。 

米雇用統計待ち

本日最大のイベントは米雇用統計。
数年前の動きと違い、最近は米雇用統計と言えどそれほどの乱高下は見られなくなった。
しかし、注目イベントであることには変わりはない。

最近の米経済は、インフレに関しては高まっているが、景気の水準を示す指標は少し低めが続いている。
価格上昇が需要を少し抑えている面があるとの指摘もあるが、低めの数字には反応しやすいかもしれない。

普通数字であれば、このところの欧州の数字が弱いので、欧州通貨売りの反応になることが考えられる。
ユーロドルの続落に注意か。